あれもこれもやりたい、これもやってみたい、と思うことが、たくさんありますが、ずっと心に引っかかっていることがあります。遡ること、今から3年前。四谷三丁目にあるライブハウス、ソケースロックさんで、堀尾先生から『アコギ一本勝負!』を襲名させていただいた時に、プレゼントされた白のギターストラップです。
このストラップ、先生が直筆で『酔弦』と書いて下さっていて、この世に二本とないストラップです。白いストラップというのも意味があって、襲名はさせたけれど、あくまで白帯、ここからがスタートなのだ、ということでした。次の黒帯ストラップを目指して、ギターに、人生に、精進しなさいと言われました。
襲名するための条件は、ソケースロックにて、堀尾先生の主催する酔弦ファミリーの皆様の前で演奏をして、その時の評価で襲名が認められるかどうか決まる、というものでした。その時に必ずオリジナル曲を一曲、そしてオリジナルアレンジ曲を一曲、披露をしなければいけない、というものでした。
襲名式をすることが決まったのは、更にそこから遡る半年前。堀尾先生が新宿のハーモニーホールで、毎年開催されていたコンサートの時でした。急にステージに呼ばれて、一曲一緒に弾こうということになり、急遽でしたが、チックコリアの代表曲『スペイン』を弾かせていただきました。
突然の襲名式、発表。と同時に、弟子の卒業を言い渡されて、嬉しいのか、悲しいのか、ごちゃ混ぜの感情のまま、会場を後にしました。だけど、がんばれよ、という先生の最大限のエールということで、まずは襲名式本番の日に向けて、練習していこうと、気持ちを入れ替えました。
先生の弟子として、10年程経っていた頃ですが、よく考えると、弟子を10年もやっているのに、未だ羽ばたけていないまま、時間がかかってしまっていて、これは先生に対して失礼なことだったのだと、自分なりに解釈をして、気持ちが切り替わって行く感じがしたのを覚えています。
小学校だって6年間で卒業です。ダラダラと弟子を続けているんじゃなくて、もっとやる気を出さねばと、今がその時だと気合いも段々と入ってきますが、大きな課題がふたつ。襲名するための条件、オリジナル曲とオリジナルのアレンジ曲。これが大きな壁でした。何と、ちゃんと完成した曲がまだひとつもない状態。
襲名式の発表から、本番まで数ヶ月。今まで出来ていなかったことが、急に飛躍的に出来る、というのは、当然簡単には出来ないことで、みんなからは、ついに襲名だな、おめでとう!がんばって!と激励していただいたりしましたが、盛大に式を開いて、襲名出来ませんでした、っていうオチだけは避けないとと、プレッシャーで辛い日々が続きました。
堀尾先生も、残り少なくなったレッスンの回数の中で、「(オリジナル曲の)進捗はどう?」と毎回聞かれました。最初の数回は、「まだ出来ないか、そうか」と、がんばれと励まして下さいましたが、いよいよ襲名式の前月、最後のレッスンの日になって、どうか?と聞かれても、すみません!まだ出来ていません!と答える自分。
これ書いてて、自分でも悲しくなるのですが、本当に何にも出来ませんでした。しかし、野球の9回裏ツーアウトでもなければ、宿題の残った夏休み最後の日ってことでもないワケですが、締め切りパワーってあるのか、それまでぼんやりこうしようかなと考えていたことをまとめて、無理くり作りました。
アレンジ曲のほうは、リリーベイビーズのライブで大好きだった『ジンギスカン』。これはホントに勢いだけで何とか作り上げました。EとかAとかの開放弦が多いコードの曲だったので、ギターで演奏するには弾きやすいだろうということで、通して弾いてみて、ところどころ「ん?」て思うところもありましたが、勢いって怖いです。
何にも思い浮かばないオリジナル曲のほうは、コロQで、Qちゃんが歌ってくれた『ぼくのマドンナ』という曲を、インストにする、という作戦で行きました。コードにメロディを付けるだけのシンプルな曲でしたが、シンプルで分かりやすいのが、自分の売りだということで。がんばってインストにしました。
襲名式の月に入り、堀尾先生から連絡が入ります。「明日は本番だけど、曲は出来たな?確認しておきたいから、録音して送りなさい」と言われましたので、携帯の録音メモで、即席でしたが録音をしてお送りしました。最初に送ったのは、嫁さんの台所仕事の音がガチャガチャと入ってしまっていて、先生から「ちゃんと静かなところで録りなさい!」と怒られました。
気を取り直して、もう一度静かな時に録り直すと、「分かった。それじゃ、その二曲を今から10回ずつ弾いておきなさい」との指示。それから、夜遅くまで、練習をして本番に臨むのですが、みんなが寝た後、リビングで一人で練習していたのを、今でも昨日のことのように思い出します。まだ桃姫も金太郎もいない時でした。
長くなったので、続きはまだ次回。
【お知らせです!】
湘南シェリフ、約2年ぶりのニューシングル!トリプルA面『湘南サマーブリーズ/ひとりの悲しみ/また逢う日まで』
↓公式ホームページよりご視聴いただけます。
https://columbia.jp/artist-info/sheriff/
【自己紹介】
今回もお読みいただきありがとうございます。ギタリストのコロ助です。
『湘南シェリフ』(日本コロムビア)というバンドでギターを弾いたり、声優の森田樹優さん(Qちゃん)と『コロQ』で絵本読み合わせライブをしたり、日本屈指のギタリスト堀尾和孝先生直伝のアコースティックギター1本でのエンターテイメントライブ『アコギ一本勝負!』をしたりしています。
橋本アリオのセブンカルチャークラブでギターとウクレレの講師もしています。
サラリーマンしながら音楽活動と子育ての両立に、楽しくも悩ましい日々を過ごす毎日です。
https://columbia.jp/artist-info/sheriff/
PV『湘南レイニーデイ』
PV『湘南サンセットビーチ』
PV『シーサイドロマンス』
コロQ(森田樹優さんとの絵本読み合わせユニット)
森田樹優さん
アコギ一本勝負!お師匠様
堀尾和孝先生
https://holiokazutaka.wixsite.com/kazutakaholio/home
セブンカルチャークラブ橋本
ギター&ウクレレレッスンやっています。